市指定文化財が資料館!「野々市市郷土資料館」/石川
野々市本町は旧北国街道の面影をとどめた、歴史を感じる町並みです。
数多くの史跡が残っており、国や市に文化財して指定されている住宅もいくつかあります。
その中にある野々市市指定有形文化財の「旧魚住家住宅」は、現在「野々市市郷土資料館」として無料で公開されています。
農村にある商家として建てられたため、少し変わった間取りの旧魚住家住宅。
そんな野々市市郷土資料館で、昔の野々市に触れてきました!
◆ 野々市市HP
–野々市市郷土資料館
野々市市郷土資料館(旧魚住家住宅)
野々市本町3丁目にある資料館。北鉄バス「野々市本町3丁目」から徒歩2分、「野々市中央」から徒歩7〜8分ほどのところにあります。
駐車場もあり、車3台止められます。建物入り口の右側、門をくぐった先が駐車場です。
「旧魚住家住宅」が資料館となっているため、再現された昔の家の雰囲気を味わえます。
野々市の歴史に関する資料・パネル展示、昔使われていた農具や道具を実際に見ることができるため、歴史や文化を楽しく学ぶことができる施設です。
3度の移築を経て現在の場所へ
旧魚住家住宅は野々市市の指定文化財として登録されていますが、実はずっと今の場所にあったわけではありません。
現在の白山市に1800年代に建てられた家を魚住氏が購入し、現本町4丁目に移築。
その後白山町に移築され「郷土資料館」として使われるようになり、平成に入ってから再び本町3丁目の現在地へ移築されました。
3度もの移築を経て、今に至るんですね。
◆ 野々市市デジタル資料館
–旧魚住家住宅
歴史や建築ごとに疎い私は「そんなに頻繁に移築ってされるもの?そもそも、そんなにできるもの?」と疑問に思いましたが、割と移築ってよくあるそう。
特に価値がある古民家であるほどこの魚住家のように買い手があるため、違う土地に移築されながら残って来たそうです。
町家風の農家を自由に拝見!
早速、館内へお邪魔します。館内は順路がなく、自由に見て回ることができます。写真撮影も許可をいただきました!
職員さんは大変気さくでお話し上手。この日ご対応いただいた方はご年配の男性の職員さんで、ご自身が幼少時代〜現在に至るまで過ごした野々市でのお話など、楽しいお話をたくさんお聞きできました。
農家の間取りで「ミセノマ」や「トオリニワ」
入るとそこはとても開放的な空間。素敵な古民家です。
お茶の間のようなところは「オエ」というそうですよ。
魚住家住宅は農村にある商家なので、妻入り構造で田の字型になる農家の間取りをとっているものの、表構えは平入りの町屋。
入るとすぐ、かつて商売をされていた「ミセノマ」があります。
ちなみにこの「ミセノマ」では、週末の土日限定でカフェがオープンされます。
私がお邪魔したのも週末だったので、美味しい黒蜜きな粉アイスをいただきました!
オエの右側には、町屋らしい奥に続く「トオリニワ」もあります。
かなり広いです!
このような「町屋風農家」は金沢郊外の農村部の街道筋によく見られるそうで、野々市本町の表通りには10軒あまりが残っています。
トオリニワをすぎた先には展示室が。
まだまだ再現されたお家部分は見れていませんが、順路が自由なので一番奥の展示室から見て回ることにしました。
富樫氏資料展示室
館内マップでは「ホール」と記されている広い廊下には、富樫氏に関する説明パネルが並んでいます。
この魚住家住宅が建設されるよりも数百年前の室町時代、加賀国を支配した守護大名で、政治を行う守護所を野々市に置いた富樫氏。
平安時代の伝説的な武人として知られる藤原利仁を祖先にもつ氏族で、野々市の歴史を語る上で切り離すことのできない氏族です。
ここには、そんな富樫氏について説明されたパネルがいくつか展示されています。
富樫氏についての概要、家紋や家系図、野々市との歴史などなど。
郷土資料館に展示されている資料は大体が「町家風の農家」があった時代に関するものが多いので、それより以前のことはこの「富樫氏資料展示室」コーナーで学ぶことができます。
1F展示室
1Fの一番奥にあるのは、昔の農具の展示。
人型シルエットのパネルも一緒に展示されているので、それぞれの農具がどのように使用されていたのか視覚的にわかりやすい展示になっています。
昔の野々市はこのように、宿駅として整備された北国街道の他は田んぼや畑がたくさん!
今私が住んでいるところも、かつては畑だったようです。こう見ると本当に発展著しいですね。
それでも発展し続ける中、この野々市本町のように歴史も残るって素敵です。
歴史と発展は金沢工業大学のおかげ?
職員さんいわく、このように「古い歴史を残しつつ発展」できた理由はズバリ「金沢工業大学」のおかげだとおっしゃってました。
大学ができたけど学生さんの住む場所がない。そこで、野々市に土地を持つ人が学生さん用のマンションを建てるなどして田畑が住宅街に変わり、もともと住んでいた方は農業→不動産業に変わっていったそうです。
住宅が増えると周りには生活を支える施設も増えて利便性が向上し、不動産業を営む住人の懐も暖かくなる。
そのため歴史的な貴重な施設を手放す必要もなく、「歴史と発展」が共存するまちになったそうです。
そんな背景があったとは……! 大学さまさまですね。
2F展示室
1F展示室の脇には階段があって、上がるとそのまま2F展示室です。
ここでは、当時の生活道具などが展示されています。
加賀地方では、男の子が生まれるとお正月の間「天神堂」というものが飾られたそうです。(画像手前)
天神堂は学問の神様・菅原道真を祀る神社の模型を表したもの。無事に成長し、勉強がよくできるようにと願いを込められたものだそうです。
一般家庭に、こんな立派なものが飾られていたなんて!
今でも石川県内、飾られてるご家庭はあるのでしょうか。
嫁ぐ際にはワラで作られた「鶴・亀」をお土産に持っていくそう。
こちらも加賀地方の農村で主に見られる風習だそうです。
今にも羽ばたこうとしている鶴、どっしりとしている亀、とても緻密な表現。
鶴の足すごく細いのに、安定感がすごくてびっくり!
割と近代的な展示もあり、昔の電話もあります。
このタイプの電話はアニメとか古い時代の映画でよく見るけど、どうやってかけるんだろう……?
間近でまじまじ見てもよくわかりませんでした。
でもこの電話、顔に見えて可愛いですよね。笑
その他、様々な生活道具や昔の野々市市の写真なども展示されています。
農家の間取り部分へ
展示室を一通り見終えたので、住宅部分へ戻ることに。
「トオリニワ」から靴を脱ぎ、上がらせていただきました。
広い! 綺麗! 落ち着く!
普段は「住むのは洋風の家が良い」と思う私ですが、こんな素敵なお家を見ると「和風も良いな」と思ってしまいます。
襖に畳に障子の和室。寒い冬の日には火鉢を出しちゃったりして。
床の間には掛け軸と花器。
防火には手榴弾消火器……これは見慣れないものですね。私、初めて見ました。
昔使われていたガラス球型の消火器だそうですよ。
住居部分の2Fへ
住居部分も2Fへ上がることができます。
この階段がちょっと怖い。
階段部分は全部1Fから見ると収納棚になっています。一段足を踏み入れるたびにギシギシと音を立てるため、石川に来てから美味しいものをいっぱい食べて大きくなりつつ私は「足突き抜けるんじゃないか」という不安がひしひし。笑
ヒヤヒヤしましたが、屈み込みながら慎重に、無事に上がることができました。
2Fは10畳のお部屋が一つだけ。現代でいうとロフト的な感じですね。
置かれている家具も味のある歴史を感じるものです。秘密基地的な雰囲気があって、ワクワクします。
階段を降りるときはさらに怖いです。笑
無事におりると、これで資料館内は一通り見終えました。
昔の野々市暮らしに触れられる場所
今回ブログにアップしたのは一部だけ。もっと様々なものが展示されています。
「野々市市郷土資料館(旧魚住家住宅)」は「郷土資料館」というだけあって、昔の野々市の暮らしに関する資料がたくさんあり、その歴史や文化に触れることができました。
しかし資料が「何百年〜何千年も前のもの」ではなく、大体明治〜昭和のもので、結構身近に感じるものが多かったです。
そのため、懐かしさや親しみを持てる、とっつきやすい資料館でした。
また、職員さんのお話も大変面白かったです!
昔の道具の展示で「これはどうやって使うの?」という疑問に対し、ご自身の経験談を交えながら楽しくお話をしてくださいました。
ご年配の方は、小さい頃に実際に使用されていた道具もあるんですね。
職員さんに気軽にお話を聞けるのも魅力ポイント。
見て「これは何だろう」で終わらないので、満足感が高いです!
毎年10月頃、野々市本町でおまつりが!
職員さんに教えていただいたのですが、毎年10月頃に野々市本町でおまつり「北国街道 野々市の市」をされるそうです。歩行者天国になって、屋台も並び、大変賑わうとか。
このお祭りの期間だけ、普段入ることのできない市指定文化財として指定されている他の住居に入ることができるそうです!
「水毛生(みもう)家住宅」のお庭はとても綺麗で、野々市市内で最も紅葉が美しいと言われているそうですよ。とっても惹かれます。
◆ 北国街道 野々市の市
–公式HP
野々市の歴史にご興味あれば
これよりもっと昔の野々市を知りたい!という方は、御経塚にある「野々市市ふるさと歴史館」へどうぞ。
御経塚遺跡から出土されたものが展示されており、縄文時代〜江戸時代の野々市を知ることができます。縄文土器や石斧の破片が実際に触れる体験もできますよ!
こちらも入館料は無料です♪
◆ 野々市市HP
–野々市市郷土資料館
開館時間:9:00~17:00
定休日:月曜日、祝日の翌日、年末年始
住所:野々市市本町3丁目19-24/バス「野々市本町3丁目」徒歩2分
電話番号:076-246-2672
※投稿時の情報です。最新情報はお店の公式情報をお確かめください!
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