虫歯じゃないのに歯が痛む!「歯根嚢胞」で入院までした話
今日は、ちょっと真面目なお話。
いきなりですが、根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)や歯根嚢胞(しこんのうほう)という歯の病気をご存知でしょうか?
実は私10年近く前のことですが、虫歯じゃないのに歯が痛み、病院をたらい回しにされたあと入院までしたことがあるんです。
その後また別の歯で同じ症状が発生しましたが、「知っていること」で正しい対処ができたので、入院するほどの重症化はせず、通院のみで治療することができました。
同じ状態で現在悩んでいる方や不安がある方に、私の経験が少しでもお役に立てれば。
そして何も知らない方にも、「虫歯以外にも気をつけなければいけないことがある」と知っていただければ。
経験者として、そのときの記憶を思い返しながらこのブログに綴ります。
「根尖性歯周炎」と「歯根嚢胞」
「根尖性歯周炎」と「歯根嚢胞」、普通に生活しているとあまり聞くことのない言葉だと思います。
歯根嚢胞とは、その名の通り「歯の根っこに嚢胞(膿などの袋)」ができてしまうことです。
何らかの原因で、歯根に菌が感染してしまい、それが膿になって大きく溜まってしまうイメージです。
ちなみにこの歯根に菌が感染して起こる炎症が「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」です。
根尖性歯周炎が進行すると、歯根嚢胞になってしまう事があるそうです。
症状は人によるかもしれませんが、私の場合は突然やってきました。
見た目は何も変化がないのに、恐ろしいほどの激痛。歯が少し触れるだけで涙が出るほどの痛みが走り、食事はおろか睡眠も取ることができませんでした。
根尖性歯周炎・歯根嚢胞の原因
この根尖性歯周炎や歯根嚢胞の原因は、いろいろあると言われています。
- 虫歯を放置して根っこまで菌が到達し、大きくなってしまう
- 虫歯の治療時に菌が入ってしまい、そのままふさいでしまって感染してしまう
- 虫歯治療の詰め物等が劣化し、隙間ができて虫歯ができたり菌が入ってしまう
- 強い衝撃などを受け、歯の神経が内部で傷ついてしまう
などなど、主な原因は上記。
虫歯放置は自業自得かもしれませんが、他の場合は自分では分からないから怖いですよね。。すでに治療した歯なら尚更、もう完全に治ったと安心しているでしょうしね。
この病気たち、恐ろしいのは細菌が大人しくしている期間があるということ。
だから、
- 何年も前に治療して綺麗になったはずの歯が急に痛み出した!
- 一度も虫歯になったことがないのに、突然歯が痛くなった!
……なんてことになってしまうんです。そしてまさしく、私の原因はそれでした。
食いしばりからなった歯根嚢胞・根尖性歯周炎
私が若かりし10代の頃。
当時の私は、人の悩み相談を受けることはあっても、あまり自分は吐き出さず溜め込むことが多かったです。吐き出さない悩みが募ると、ストレスが溜まります。
また、当時は体がとても弱かった私。四季ごとに風邪をひき、季節の変わり目にも風邪をひき、一年に1回は風邪以外の病気にもなり、その体の弱さもまたストレスでした。
今考えると、ストレス→体調不良→ストレス→体調不良……の悪循環だったんでしょうね。
ストレスの解消方法も根本的な解決方法もわからない、子供だった私。
そんな私についてしまった癖が、「食いしばり癖」です。
この癖は今でも残っていて、ストレスに限らず体調が悪い時、集中している時など、ことごとく食いしばってします……。最大限気をつけていますけどね。
後述しますが、私が「歯根嚢胞」で入院までしたのはこの「食いしばり」が原因でした。
症状の発生
ハタチ頃のこと。
突然、右下の糸切り歯が痛み出しました。
この歯は過去に虫歯になったこともなく、とても健康的な歯でした。
鏡で見ても特に変わりなし。普通の歯のまんまです。
だから最初は気のせいかと思ったものの、2〜3日経っても変わらず。
むしろ、痛みが強くなるように。
ちょっと怖かったので、念のために近くの歯医者さんへ行くことに。
最初にしたこと:近くの歯医者さんに相談
初診の歯医者さんに診ていただきましたが、見た目に何も異常はないため「虫歯もないし、特に問題ないですよ〜」と。
診てもらったこと・問題ないことに安心しつつ、診療中も診療後も痛みは変わらず不安感は残りました。
さらに2〜3日、痛みがちょっとずつ増してきて、少しだけ頬が腫れた感じが。
急激におそわれる痛み!
腫れが出てきて1〜2日、痛みも激しくなってきました。
どれくらいかというと、歯が何かに少し触れただけで激痛が走るほど!
本当にちょっとした刺激でもダメなので、上下の歯同士が軽く当たるだけで激しく痛んで、睡眠も難しい状態になりました。
睡眠中にふと歯同士が当たると、文字通り飛び起きる状態。。
当然こんな痛みは我慢できないので、再度同じ歯医者さんへ。
でも歯医者さんは、「歯茎は腫れてないし、歯に異常はありません。頬の腫れや痛みは気のせいでは?」と。。
確かに見た目には何の異常もないし、頬も自分だから「ちょっと違う」って思うだけかもしれない。
でも、この痛みは気のせいなんかじゃありません。実際無意識の睡眠中にも飛び起きるほどの激痛が、何もないわけないじゃないですか。
そんなに言うならと、しぶしぶ抗生剤と痛み止めを出していただきました。
でもこの歯医者さんはしっかり診てくれなさそうだと思い、別の歯科に診てもらうことを決意。
さらに悪化する症状。別の歯医者さんへ
処方された薬を飲みつつ、ちょっと調べて、口コミをしっかりチェックながら歯医者さんを探しました。
電車で3駅ほど離れている場所でしたが、しっかり話を聞いてくれそうな歯医者さんを選びました。
ただタイミングが悪く、調べたのは夕方を過ぎた時刻。今から行っても診療時間は終了しているという時間。
更に次の日は休診日。そのため仕方なく、翌々日に行くことになりました。
しかし、この1日で症状は更に悪化。
もらった薬は効いている気もしないし、痛み止めも気休めにもなりませんでした。
頬の腫れはここで第三者から見ても「確実におかしい」とわかるくらいになり、首のあたりにまで広がる事態。
もちろん一睡もできず、睡魔には襲われるもののガクッと頭が揺れたら最後、その振動でも歯に激痛。
当然食べ物も一切口にできません。
朝一番に、調べた歯医者さんへ向かいました。
幸いなことに、このお医者さんは症状を見て、ちゃんとすぐに「歯根に原因がある」と突き止めてくださりました。
ただ、ここでは治療はできないとのこと。
大きな病院か専門の歯科・口腔外科じゃないと治療できないようです。
絶対安静の緊急入院
紹介状を書いてもらって、口腔外科が入っている総合病院へ。
そしてそのままなんと緊急入院することになりました。
まさか歯で「絶対安静」の「緊急入院」になるなんて思わず、本当にびっくり……する余裕も当時はなかったです。とにかく激痛と睡眠不足で、何かを考えることも難しくて。
その時に「このまま放置してたら、気管が圧迫されて窒息してしまったかもしれない。来てくれてよかった!」とにこやかに口腔外科長の先生に言われ、セカンドオピニオンって歯医者でも大事なんだなって思いました。
そして下された「歯根嚢胞」という診断。私はこの時初めてその存在を知りました。
1週間の入院
緊急入院をしてから、入院期間は一週間。
しかしこの時の治療は、「歯根嚢胞」を除去するものではなく、大暴れして悪さしている菌たちを抑えるもの。
入院中は抗生剤の点滴を打って、とにかく絶対安静。
痛みに朦朧としていたこともあり、特に最初の方の治療内容はハッキリ覚えていないのですが、歯茎に切り込みを入れ、嚢胞から出てる膿を除去&消毒を一日に数回してもらいました。
入院初日の夜は熱も40度を超えていて、意図しない涙がずっと出て、うなされていました。
1週間経ってすっかり腫れもおさまり、痛みも全くなくなったので「完治したー!」と思ったんですが、上記の通り暴れた菌を抑えただけで、歯根嚢胞は除去されていません。
歯の根っこの下に嚢胞は残ったままです。
歯根嚢胞、あるだけでは症状なし
実は歯根嚢胞、根っこの下に存在しているだけでは、特に症状はないらしいです。
症状がないままでも、放置すると骨が溶かされるなどの恐ろしい影響の可能性もあるそうですが。。
免疫力が低下する等、何らかのきっかけで大暴れした場合、私のように急性の症状が発生するらしいです。
免疫力の低下というと大ごとに聞こえますが、日常的に起こるもの。
風邪をひくなど体調を崩したり、疲れが溜まっていたりすると、人の免疫力はすぐに低下してしまうんです。
そのため、歯根嚢胞を何も知らずに放置しているのはこわいこと。
いつ大暴れして恐ろしい目にあうかわからないんです。
私に与えられた選択肢
退院時、お医者さんに今後どうするかを聞かれました。その際の選択肢は3つ。
- 歯根の先っぽを切除し、嚢胞を除去(全身麻酔で手術、後遺症が出る可能性もあり)
- 嚢胞ごと抜歯
- 様子見
とりあえずもうこの激痛を味わうなんて絶対嫌だから③の放置はないな、と思いつつ、そういえば私の歯になぜ歯根嚢胞ができたのかを聞いてみました。
私に歯根嚢胞ができた理由
まず、見た目的に問題なかった歯ですが、実は神経が死んでいたそうです。
そして歯医者さんからは「普段、歯ぎしりをしたり食いしばったりしていませんか?」と。
私は自分の食いしばり癖を自覚していたので、「しています!」と即答すると、「ではおそらくそれが原因です。歯の力はかなり強いので、慢性的な食いしばりで神経が死に、根っこの負担も大きくなったんでしょう」と……。
CTやレントゲンでは微妙なものの、問題の歯根が割れてしまっている可能性が高いとも知らされました。
食いしばりが原因で歯根が割れ、健康な歯の下で神経が傷ついて腐っていってしまったのでは……ということでした。
さらに私は「顎関節症」になっていることも知りました。
他にも、食いしばりが原因と思われるたくさんの悪いところが見つかりました。
神経が死んでいるかもしれない歯が、他にもたくさんあるかもしれないと。。
私がした選択:インプラント
選択肢①を選んだ場合でも、もし歯根が割れていたら抜歯しかないとのこと。そのため、私は②の抜歯を選びました。
そして、今その抜いた部分にはインプラントが入っています。
ブリッジにするにも、私の食いしばりがひどいので、下手したら両サイドの歯にも大きな影響があり、三本ダメにするかもしれないということだったので、高額でしたがインプラントを入れることにしました。
インプラントもきちんとメンテナンスをしないといけないので大変ですが、口の健康は本当に大事だと心底思いましたから。。
歯根嚢胞は解決!しかし通院は続けます
これで歯根嚢胞は解決!
しかし、通院は続けます。
- インプラントが入っていること
- 食いしばり癖で歯の状態が全体的に弱くなってしまっていること
- 顎関節症のこと
などがあるので、同じ病院で定期的に(年に3〜4回)診ていただくことに。
クリーニングもいつも1時間かけてやってくださるので、本当に良い病院です。。
2度目の悪夢「根尖性歯周炎」
そしてしばらく平和なときを過ごしていましたが、数年後に別の歯に同じような痛みが。
このとき私はプチブラック企業に勤めており(休みが月2日とか、21連勤とか)、疲れが溜まって免疫力が低下していたんですね。
そのため、懸念されていた弱い歯に、ついに症状が発生してしまいました。
しかし通院を続けていたこと、このときに得た知識があったことから、入院するまで悪化はせず通院のみで解決しました。
症状の発生
今からおよそ5年ほど前。
左下の奥歯が、噛むとき少し痛む感じになりました。
実はこの歯は前回と異なり、小学生のときに虫歯になったことがあり、詰め物をしている歯でした。
10年以上も前に治療済みの歯です。
ものを食べる時、じわっとするような、チクチクっとするような痛み。
見た目は詰め物が普通にしてあって、周りは特に違和感はありません。
でも、痛みがあるのはやっぱり変。前回入院していた時も、このじわっとするような痛みから始まりました。
歯に対して大変敏感になってる私は、定期通院で予約している以外の日でしたが、急遽病院へ行くことにしました。
根尖性歯周炎の早期発見
レントゲンなどの検査をしてもらうと、「歯根にちょっと菌があるようだ」とのこと。これこそが根尖性歯周炎。
前回のように膿が大暴れしていないので、全身麻酔の手術や抜歯は必要なく、通院で「根管治療」という治療が可能です。
ただ、歯の根っこの治療ってとてもややこしいもの。そして時間がかかるものなんです。
根管治療のスペシャリストの先生に、歯の根っこから細菌を取り除いてもらい、薬剤を詰め、また別の日に同じことを繰り返し……
私の場合は毎週通い、1回の治療が1時間以上、それを2ヶ月ほど続けました。
仕事が忙しくどうしても土曜日しか時間が取れなくて通わせていただいていたのですが、先生のお昼休みの時間も削っていただいたり、本当に感謝しかないです。。
この根尖性歯周炎の時点で治療ができたので、あの歯根嚢胞の悲劇は繰り返さずに済みました。
悪化しないために気をつけていること
この経験からとにかく「歯」の重要さや病気になった時の怖さについて、身をもって知った私。今は色々と気をつけています。
経験者として、悪化させないために私が気をつけていることを記します。
なんでも話せる歯科への定期的な通院
おかげさまで現在は問題なく過ごせていますが、歯医者さんへの定期的な通院はずっと続けています。特に問題なければ歯のクリーニングのみで終了しますが、ちょっとでも「おかしいな」と思うことがあれば相談して、適切な処置をしていただいています。
石川への引越しの時もどうするか悩んだのですが、お医者さんと相談して通院を続けることにしました。(年2〜3回、私の帰省に合わせるペースで)
私が抱えている口腔問題をすべて把握してくださり、信頼もできる先生なので。
かかりつけの歯医者さんがいない方は、ぜひ見つけていただきたいです。
小さな歯医者さんでもいいんです。その場所に根管治療や歯根嚢胞の治療をする設備がなかったとしても、適切な診断さえしていただければ、大きい病院を紹介してもらえますから。
何より大事なのは早期発見です。
自分の歯のメンテナンス
歯医者さん任せだけじゃいけません。自分の歯は自分で守ることが大事です。
私は普通の歯ブラシ、タフトブラシ、デンタルフロスの三つを使っています。(フロスはしっかり時間がかけられる夜のみになりがちですが。。)
「ストレート」の歯ブラシ
歯ブラシは固さは「普通」、そして完全な「ストレート」タイプが良いそうです。
持ち手もブラシも全部まっすぐ。旅館やホテルにアメニティーとして置いてあるような、一番安いタイプのやつです。
山がある方が歯間が磨けそうに見えますが、力の入り具合に差ができて良くないそう。あまり磨けていない部分があったり、逆に強く磨きすぎて傷つく箇所ができたりしてしまうんですって。
ストレートだと力の入り具合が均一になり、磨き残しや磨きすぎを防止してくれるそうです。
(強い力での磨きすぎは逆に知覚過敏になるので注意ですよ・・・これも経験済みです。笑)
タフトブラシでポイント磨き
もちろんストレートブラシだと、どうしても歯のキワ部分とか歯間の汚れは取れません。
その部分はタフトブラシでポイント磨き。
こういう、小さいブラシですね。
これを歯茎に沿わせることで汚れを取るだけでなく、歯茎の血行も良くなるそうです。
デンタルフロスを通す
最後にデンタルフロス。すべての歯間に通して口腔状態はバッチリです。
歯間は汚れが溜まりやすくて歯茎が一番腫れやすいので、最初の頃は出血が多いかもしれません。でも続けているとなくなります。
ちなみにこのとき、フロスで食べかすなどの大きなゴミを取ろうとしてはNGだそう。押し込んで歯茎を傷つけてしまうことがあるんですって。
食べかすはタフトブラシまででなんとか除去しましょう。
食いしばりの負担軽減にマウスピース
夜寝る時は必ずマウスピースを使っています。歯医者さんで作ってもらった、自分だけに合ったものです。
ハードタイプもソフトタイプも経験しました。
最初の頃使ったハードタイプは「歯の力が勝つ」という事態で、なんとヒビが入り割れそうになってしまいました。結構な硬さなんですが、歯の力ってすごく強いんですね。
そしてソフトタイプに切り替えたんですが、力が入る歯のところは1ヶ月も経たず穴があいてしまうことに。
自分の「食いしばり力」に絶望。
最近は少しずつマシになってきたのか、ハードタイプなら数ヶ月もつようになりました。ということで今の愛用はハードタイプのマウスピースです。
疲れやストレスをためない
なんだかんだで一番大切なのは、「疲れ」や「ストレス」をためないことじゃないかと思っています。
私に歯根嚢胞ができたのは食いしばりで神経が死んでしまったことが原因と言われました。
でも菌が爆発して大暴れしてしまったのは、ストレスなどで免疫力が下がってしまったためです。
免疫力を高めて、心身ともに健康でいることが何よりの予防なのかも。
仮に嚢胞ができたとしても、免疫力が高まっていたら、あの恐ろしい激痛は経験しなくて済みそうですしね。
歯の痛みを侮らない
歯の痛みは軽く考えられがちですが、結構恐ろしいです。
頭に菌が入ってしまうという事例もありますし、私のように首が腫れて気管が圧迫されてしまうケースもあります。まさに命の危険に繋がってしまう場合もあります。
何か「おかしいな」と感じた事があれば、すぐに歯医者さんへ行きましょう!
歯は大事!
歯は一生ものです。インプラントなど代わりの歯を入れることはできますが、強度も美しさも本来の歯には全くもって及びません。
そのため、虫歯の対策もそうですが、油断しがちな「食いしばり」にも気をつけてくださいね。
正直、時間がない時はメンテナンスを全部完璧にやることは難しいです。
それでも、「できるときはちゃんとやる」これが大事だと思います。(歯科衛生士さんもそう言ってくれたし)
つらつら書きましたが、私はあくまで「かかったことのある元患者」です。
私自身もうあんな痛みは嫌だし、他の人にも同じ痛みを味わってほしくないのでこの記事を書きましたが、あくまでただの素人です。
「もしかして?」と心当たりのある方、心配事がある方は、専門知識を持った歯医者さんにしっかり相談してくださいね!
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