ピクトグラム集「世界のマーク」日本と海外の違いも分かる353点/読書記録

2021年1月28日読書感想・レビュー

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今回の読書記録はこちら。

世界のマーク : 由来や意味、英語が分かる353点
タイトル:「世界のマーク : 由来や意味、英語が分かる353点」
編者:主婦の友社
監修:太田幸夫
発行:主婦の友社

世界のマーク 由来や意味、英語が分かる353点」という本です。
見かけた瞬間、そういえば2年ほど前に富山県の美術館で見た企画展「道標(サイン)をめぐるアートとデザイン」がとても興味深かったな……と思い出しました。

普段意識することのないピクトグラムなどのサインやマーク。意識せずとも、何を示しているか分かる究極のユニバーサルデザイン。
マークがひたすら淡々と紹介されている本ですが、考えながら見ていると「デザインの大切さ」を改めて感じました。

日本と外国のマークの違いも一部紹介されているので、インバウンドや海外の方向けデザインの参考にもなりそうです。

世界のマーク 由来や意味、英語が分かる353点

主婦の友社が発行された「世界のマーク 由来や意味、英語が分かる353点」。
多摩美術大学教授・太田幸夫が監修された書です。太田氏は日本サイン学会の理事も務められていて、誰もが絶対に目にしたことのある「非常口サイン」をデザインされた、サインデザイナーさんです。

「353点も紹介されている」と文章だけで見るとページ数が多いのでは……と懸念されるかもしれませんが、本書は見開き1ページに4つずつのマークが紹介されています。
その結果とてもとてもコンパクトな本です。逆に不安になっちゃうかもしれないほどの薄さですが、その分カバンに入れて持ち歩くことも容易なサイズ。

マークの説明は1〜3行ほど。多くの情報が詰め込まれてるわけではなくて、うまく凝縮されていました。
一見すると説明が足りていないように見えるのですが、情報量は十分です。何故って、主役のマークが単体でも分かりやすいから。
マークを見て、説明を読んで、「うんうん。そうだよね」と納得するような形で読み進めることができます。

日本と海外の違いも

マークによっては、日本と海外の違いが紹介されているものも。
たとえばバスのマーク、日本では横向きのマークが一般的。でも海外では、正面からのマークが一般的なんですって。
こういった違い、文化の違いが感じられて楽しいですし、海外の方をターゲットとしたデザインの参考にもなりそうです。

もちろん日本のマークを見ても海外のマークを見ても、どちらもパッと見て分かるデザインになっています。
でもなんだかんだ馴染みがあるのって、やっぱりずっと見慣れたマークのデザインですよね。

だから海外の方向けのサービス・インバウンド対応のデザインなどには、海外のマークを取り入れるなどした方がターゲット層により伝わりやすくて、何より寄り添った優しいデザインになるのでは。とても参考になりそうです。

日本ではあまり見ないマークも

日本に住んでいると見ることのないマークを見ると、環境の違いが感じられて少し面白いです。

エジプトならではの「ラクダに注意」、オーストラリアならではの「コアラに注意」とか、日本では全然見ませんもんね。(鹿がジャンプしてる「動物の飛び出す注意!」は見かけますが)

たまに混ぜ込まれる雑学に「へ〜!」

「マーク」自体や、「そのマークが意味するもの」の雑学なんかが説明に盛り込まれている場合も。

たとえばスポーツ種目のマークの「自転車競技」についてですが、自転車競技では最大時速50〜60kmも出るんですって!

交差点ありのマークなんかは約100年前から使われているそうです。
100年前から使い続けられるデザインってすごい。

改めて感じる「わかりやすいデザイン」の重要さ

デザイン=おしゃれとか可愛いとか格好いいとかを求めがちですが、一番考えなきゃいけないのは「わかりやすさ」だなぁと改めて感じました。

見た目に特化したデザインは見る分にはとても素敵。
でも私自身、オシャレな商業施設なんかに行くと、空間に合わせて作られたこれまたオシャレなお手洗いのピクトグラムが「分かりにくい!」と思うことも。使いやすさ・分かりやすさが根底にないと、どんなに素敵でも不満は出てしまうものですね。
でもそんな不満は理解しているのに、自分で何か作るときって、ついついそれを忘れがち。

「誰が見ても分かるデザイン」「何も考えなくても分かるデザイン」って、それこそカッコイイな、素敵だなと思うのです。
とても小さな本ですが、グサっと心に刺さりました。初心に帰らせてくれた一冊です。